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地域言語アラカルト

※この文章は、2000年度、第3回Asian Speech Contestの冊子に掲載されたものです。一部余計な付け足しもあります。

 

春。昼休み。天気は上々。

池のほとりのベンチ。

手には「アジアのことば」を持つ女子2人・・・。

 

A :何語履るか決めた?

B :う〜ん、今ブームはコリア語かな?焼肉とか〜、キムチ食べに行きたいなー!ねえねえ知ってる?昔、男性は漢字を使っていたけど、女性や子供、身分の低い人は漢字を使えなくて、そこで作られたのがハングル文字なんだよね。なんか、画期的だよね〜。

A :でも、ハングル語って表音文字の上、簡単すぎて漢字を忘れるって聞いたよー。

B :えっ、そうなの?韓国でも漢字を使っていたんだー。漢字といったらやっぱ中国だよね。普段私達日本人も使っているから、漢字から意味を推測できるし、とっつきやすいって感じ。

A :中国語って、4つの声調があるって知ってた?

B :声調って何?

A :声調って言うのは、アクセントのことだよ。例えば、日本でいう、「雨」と「飴」、「橋」と「箸」のように発音によって意味が違うんだよ。

B :へえ〜面白いねえ。でも、難しそう。

A :そうかな?きっとそれがあるからやりがいがあるんじゃない?だって、中国語を話しているのって歌を歌っているみたいで、すごく素敵だよ!

B :あっ、そういえば、ヴェトナム語も流れるような美しい発音だよね。そうそう、発音で面白い話があるよ。ある外国人がヴェトナムのレストランで挨拶をしたんだって。そうしたら、頼みもしないのにお粥が運ばれてくる。「習慣なのかな?」って思っていると、毎回毎回運ばれてくる。どうしてだと思う?

A :何?何?(お粥専門店だったのさ、はっはっは。)

B :ヴェトナム語では、「こんにちは」と「お粥」は声調が違う「チャオ」なんだって。だから、お客さんに「チャオ」って挨拶された店員さんが毎回お粥を持ってきたんだって。声調のある言語ってこういうところが面白いよね。それに、ヴェトナム語って、”できる”サラリーマンが憶えたい言語ランキングで中国語の次に人気があるんだって。

A :そうなの?意外だよね。

B :そうなんだよね。それに、3位にはタイ語がランクインしているし、6位にはインドネシア語が入っていると言うのも意外だと思うかもしれないけど、もう英語は出来て当たり前だから東南アジアの言語が人気なんだって。

A :そうか〜、確かに東南アジアには多くの日本企業が進出しているもんね。それに観光旅行に行くにもやっぱ東南アジアでしょ!タイとか今一番人気らしいじゃん。タイか〜、私、辛いの好きだから本場のトム・ヤム・クン飲んでみたい。(むせます) 食べ物も美味しいし、寺院めぐりもやってみたいな。旅行中にさ、タイ語とかちょっとしゃべれたらヒーローじゃない?(ない) タイ語ってすごく響きが素敵だし〜でもインドネシアも行ってみたいな。

B :ケチャ・ダンスとか生で見てみたいよね。知ってる?

A :何それ?ケチャ?

B :え〜、知らないの?踊っている人の周りで大勢の男の人が「ケチャ♪ケチャ♪ケチャ♪」って言いながら手を挙げたりするやつだよ。

A :知らな〜い。でも、ナシゴレンだっけ?ご飯炒めたヤツ。

B :あんた、さっきから食べ物の話ばかりね。レストランでメニューに迷ってるんじゃないんだよ。どの地域言語を履修するかで迷ってるの!

A :タイ語には動詞や形容詞には時制や態での活用変化がないし、日本語のような「テニヲハ」がないんだって。それに国土が東西に長いインドネシアは多民族国家だから文化も言語も多彩。インドネシア語は憲法で定められたインドネシア共和国の国語何だけど、人々の多くはジャワ語、バソ語、ミンカバウ語などの地方言語を使っているんだって。ところで、あなた、何語履るの?(だんご)

B :う〜ん。ウルドゥー語かヒンディー語で迷っているんだけど・・・。

A :マニアックだねぇ。ヒンディーと言う名はペルシア人がつけたもので、はじめは「インダス川地方の住民(の言葉)」という意味ぐらいだったけど、もともと現地にあった方言にペルシア語やトルコ語系の語彙を混ぜた混声言語を用いるようになって、これをヒンディーと呼ぶようになったんだよね。(あんたがマニアックじゃ)

B :なんでそんなことしってんの?

A :この「アジアのことば」に書いてあるでしょ。読んでないの?今からしっかり言語決めておかないと、再履修確実ね。(まだ早いだろ)もしかして再々履修になったりして・・・。

B :え〜、それじゃ進級できない・・・。じゃあウルドゥー語ってどんな言語なの?(だから本読めって)

A :そうね、今言ったヒンディー語とウルドゥー語って文字が違うだけで発音が同じだから、両者で会話できるらしいよ。もちろん、すべて分かり合えるわけじゃないけどね。ウルドゥー語を理解したかったら、ガザルがいいらしいよ。

B :何それ?

A :ガザルは抒情定型詩のこと。2行でできた対句が幾つか集まって一遍の詩を作っているんだって。このガザルには長い伝統があって、古典的なガザルには「濃い狂い」や「説教師」、「酒」、「酎人」などをテーマにした人間味溢れるものが多いんだって。あなたにぴったりじゃない。(失礼な)

B :そうかな?私って人間味に溢れている?でも、西のほうの言語って、字がミミズみたいだよね。(ブルータスお前もか!無礼者!)

A :それはアラビア文字の流れを引いているからね。ウルドゥー語、ペルシア語、アラビア語ってとこかな。そうだ、ペルシア語はどう?

B :ペルシアってイランだよね。な〜んか戦争ばっかって感じがするよね。イスラム原理主義とかイラン・イラク戦争とか・・・

A :へえ〜あんたでもそんなこと知ってるんだ。でも、それって偏見。そうそう、ペルシア語って名詞や形容詞、動詞に文法上のジェンダー(性)がないらしいよ。だから語形変化も少ない。それに、ペルシア語って音節がシンプルで明瞭だから、韻律を持つペルシア語の詩はとても美しく心に響くらしいよ。

B :神秘的だね。そういえば、イランといえばペルシア絨毯(じゅうたん)だよね〜。あ〜空飛ぶ絨毯・・・(飛ばぬ)

A :現実逃避・・・?

B :違う〜。そうそう、最後にアラビア語は?

A :意外と知られていないけどアラビア語って英語やフランス語、中国語、スペイン語と並んで国連公用語なんだよ。あと、私たちが普段使っている言葉にも、アラビアを起源とするものがある。「キャンディー」は「カンド」、「アルコール」は「アルコホル」とかね。

B :いろんなこと知ってるんだね。ところであなたは何語履修するか決めたの?

A :えっ、私?実は決めてないの〜。(きさま…) どうしよう。履修登録明日だよ。

B :そうだよ、やばいよ〜。

(A、B沈黙 そして同じことを考えついた)

A・B :やっぱ履るなら〜〜語でしょ! (←都合によりカット)

 

参考文献 : 現代アジア研究所編「アジアのことば」

 

 

 

 

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